令和3年6月定例会
令和3年6月25日 (一般質問)
海野庄三
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1.「誰一人として取り残さない・富士市」の実現に向けてのデジタル社会における行政の役割について
(1) 今回のワクチン接種のオンライン予約で表面化した、スマホなどを所有するも不慣れで、その機能が使用できないという市民に向けて、伝法地区のまちづくり協議会は6月上旬からまちづくりセンターを会場にオンライン予約をサポートする、すばらしい活動を開始。また、非営利の経済振興機関である商工会議所はパソコンをはじめスマホ、デジカメなどの各種教室を開き、富士市も教育委員会社会教育課が担当となってまちづくりセンターを会場にパソコンやスマホなどのIT機器の操作を習得する一般講座を開いている。しかし、4月5日から同12日を受付期間として募集した本年度前期のIT機器関係の一般講座は13講座にすぎない。市内に26のまちづくりセンターを数える中での13講座で、しかも13講座の合計定員が179人という中、応募者は290人を数え、受講できる競争倍率は1.62倍となっている。最高倍率は鷹岡まちづくりセンターを会場に開く講座名「使いこなそう!Androidスマホ」で、定員15人に対して受講申込みは実に51人を数え、3.40倍もの倍率である。デジタル社会に対応するために可及的速やかに講座の拡充に取り組むべきではないか。
(2) 本年度前期のIT機器関係の一般講座13講座のうち、市が講師を確保しての直営講座は8講座で残り5講座は民間の活力を導入。その5講座中、4講座は公益社団法人の富士市シルバー人材センターが担当している。IT機器関係の講座の拡充には、的確な指導方法も習得した講師の確保が難題とされる中、パソコンなどを業務で使用してきたリタイヤ世代も増えており、講座拡充に向け、さらに高齢者が高齢者を支える社会づくりの面からもシルバー人材センターに助成金交付などの手立てをもって講師の養成を求めてはどうか。
(3) 本年度前期のIT機器関係の一般講座13講座は、いずれも最短5回から最長12回のシリーズ開催である。今後、講師養成が進んだ際には、伝法まちづくり協議会の取組をひな形に、まちづくりセンターを会場に、「なんでも相談」の機能を有する初心者向けの1日講座や半日講座を土曜日や日曜日に定期的に開いてはどうか。
(4) 近年、生活必需品となっている携帯電話は年代を問わず急激にスマホへの切替えが進んでいる。これは通話機能をメインとしたガラケー(ガラパゴスケータイの略)であるフィーチャーフォンに使用されている3G回線のサービス終了が打ち出されたことによるもので、既に端末メーカーはガラケーの新機種の生産を中止。通信サービス会社も、サービス終了予定を打ち出し、auは2022年3月末、SoftBankは2024年1月下旬、最大手のNTTドコモは2026年3月末にガラケーに使用している3G回線のサービスを終了とアナウンスされている。
こうした事情から故障や破損、電池切れなどで携帯電話の機種を変える際、好むと好まざるにかかわらず携帯電話はガラケーからスマホに切り替わり、不慣れな高齢者にはメールどころかスマホで使用するのは電話機能だけという人も多いと推測される。市は毎年、市政上の課題などを項目に市民の意識、評価、要望などを把握するための世論調査を実施しているが、過去10年間の調査項目にデジタル社会は見られない。「誰一人として取り残さない・富士市」と「平和と公正をすべての人に」の実現に向け、デジタル社会における行政の役割の明確化と、対応の制度設計づくりの基礎資料とするためにデジタル社会の認知度をはじめ、市の情報の入手手段、IT機器の操作習得度などを把握するための世論調査を実施してはどうか。