令和4年9月定例会
令和4年10月7日 (一般質問)
海野庄三
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1.富士市の行政組織から「国際交流」の文言が消えた中での今後の国際友好都市・姉妹都市などとの交流の在り方について
(1) 組織改正により課内室であった国際交流室が廃止され、担当においても「国際交流」の文言が消えたことに対して、富士市の国際交流の取組が後退しているのではと受け止める市民も予想される中、市長は市議会2月定例会の新年度に向けての施政方針で、東京2020オリンピック・パラリンピックのホストタウンのつながりを生かし、スイス大使館、ラトビア大使館の協力を得ながら新たな市民交流の創出を図っていくと国際交流の拡大と推進に意欲を示している。さらに、産業経済部を産業交流部に変更して、新たに誕生させた交流観光課の機能について、文化・スポーツ・産業・観光等、様々な分野にわたる交流推進機関を集約し、国内外との交流機会の創出や活用に戦略的に取り組む組織としているが、そうした組織改正や機能の狙いについて、市内の国際交流団体などで組織し、国際交流フェアや日本語スピーチコンテスト、さらに国際交流事業に参画している諸団体で組織されている富士市国際交流協会の会合などで報告、理解を求めたことがあるのか。
(2) 富士市は、1989年1月13日に中国浙江省嘉興市と国際友好都市、続いて1991年12月2日には米国カリフォルニア州オーシャンサイド市と国際姉妹都市を締結した。以後、市民団体も含めて交流事業が重ねられ、とりわけ嘉興市については、富士市でいえば市役所に当たる人民政府が、その窓口を一手に担い、都市間交流の要素が強い。果たせるかな、5年サイクルで行政主導により富士市と嘉興市との周年事業も行われ、近年では2014年に富士市において嘉興市公式訪問団を招いての友好提携25周年式典、2019年には市長ら公式訪問団を含めて5団体が嘉興市を訪れての友好提携30周年記念式典が行われている。こうした周年記念事業の継続をはじめ、市長が施政方針で述べた東京2020オリンピック・パラリンピックのホストタウンのつながりを生かし、スイス大使館、ラトビア大使館の協力を得ながら新たな市民交流の創出を図っていくとする新規事業も、新たに誕生させた交流観光課の交流推進担当の業務になることが予想されるが、市ウェブサイトにアップされている業務案内の交流推進担当の業務は、友好・姉妹都市交流以外に富士山女子駅伝、ふじかわキウイマラソン、プロサイクルロードレース、スポーツ合宿の誘致、さらに、ふじ・紙のアートミュージアムなどが記されている。かような広範囲の業務の中で「国際交流」の事業継続やその拡大は可能と判断しているのか。
(3) 富士市唯一の市立高校である富士市立高校は、2011年度に旧富士市立吉原商業高校を再編して新たなスタートを切ったが、その際、特色ある学校づくりとして県内の公立高校では稀な海外探究研修を打ち出している。ここ2年間はコロナ禍により中断を余儀なくされているが、総合探究、ビジネス探究、スポーツ探究の学科別のコースに富士市と友好都市を締結している中国嘉興市、姉妹都市を締結している米国オーシャンサイド市の訪問は組み込まれていない。海外探究研修先には米国のハーバード大学などがある中、今後、再開に当たっては、嘉興市には嘉興学院、オーシャンサイド市にはミラコスタ大学など高次教育機関があること、さらには2011年度にスタートさせた富士市国際化推進プランの目標の一つに国際化を担う人づくりを掲げていることも踏まえ、友好都市及び姉妹都市との交流促進のみならず、富士市の国際化促進という側面からも富士市立高校の海外探究研修先の見直しが必要ではないか。
(4) 富士市としては初となった1989年の中国浙江省嘉興市との国際友好都市の締結を契機に秘書課内に課内室の国際交流室を設置した。その後、国際交流室は秘書課から離れ、本年度の行政組織改正では室を廃止し、業務を分割して、その機能は市民活躍・男女共同参画課の多文化共生担当と交流観光課の交流推進担当が担うことになっているが、地方都市においても国際化への対応強化が時代ニーズであり、この際、都市間の友好交流を基軸とした国際交流室を復活、市長直属の市長公室の秘書課に課内室として置いてはどうか。