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令和1年9月定例会
一般質問 海野 庄三
1.応募点数が減少の一途をたどる美術の市民芸術祭である「市展」の課題と今後について
(1) 美術の市民の文化活動は近年、「市展」で分類される絵画や工芸などの部門以外の活動もふえ、「活動の多様化も応募減少の一因」とされているが、ここ10年間の減少は、10年前の平成22年度(2010年度)の第44回展の応募総数525点を100とした場合、令和元年度(2019年度)の第53回展の331点は63でしかない。活動の多様化だけでは説明できない大幅な減少は、市展の存続に黄信号が点灯とも受けとめることができる。この憂慮すべき現状を、担当部署は、どのように捉えているのか。
(2) 富士市は、社会教育分野からの文化やスポーツの振興を担う部署を教育委員会から市長部局に移行させたことを契機に2年前に、現状や課題に対して専門家や市民の声を受けとめる機関とする富士市文化芸術懇話会を立ち上げ、年2回から3回程度、会議を開いているが、懇話会に応募点数が大幅減少の「市展」の現状を報告、意見を求めたことがあるか。
(3) 富士市は、教育委員会が市展事業を所管していた一時期、各部門の入賞作品を買い上げて保管、展示会も開いていたが、ここしばらく中断している。応募者にとって作品の買い上げ・保管・展示は名誉なことであり、応募意欲を駆り立てる機能も担っていたものと推測される。さらに、作品は後世に残すべき貴重な市民が築き上げた富士市の美術財産とも言えるものであろう。なぜ、中断したのか。これまで買い上げた作品の買い上げ総額と点数、その保管状況は、今、どうなっているのか。
(4) 「市展」の活性化の一策として入賞作品の買い上げ・保管・展示を復活するに当たって、財源確保がネックとなるならば、平成2年(1990年)に創設、現在、文化団体などからの寄付5000万円余を含め6億6000万円余もの残高がある文化振興基金を、創設時の果実運用型の制度設計が超低金利時代によって崩壊していることも踏まえ、取り崩して充当してはどうか。
(注1)公文書の年表記に関する規則(平成6年3月31日・規則3号)では、「原則として元号を用いるものとする」とされているが、本稿は元号が「昭和」「平成」「令和」と3つの時代にわたり、加えて応募点数増減の流れを容易に把握するため和暦と西暦の併記を採用した。